10月26日公表の「2026年度調査・速報値」とは
厚生労働省は2026年10月26日、社会保障審議会介護給付費分科会の第33回介護報酬改定検証・研究委員会において、「高齢者施設等と医療機関の連携体制及び協定締結医療機関との連携状況等にかかる調査研究事業」の速報値(案)を示しました。2024年度介護報酬改定の効果を検証し、今後の制度検討に役立てるための調査です。
施設向け調査は2026年6〜8月に実施され、21,580票を発送、9,142票が有効回答(有効回収率42.4%)でした。調査対象には介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、認知症対応型共同生活介護などが含まれます。
以下の割合は、2026年6〜8月に調査に回答した施設についての速報値(案)です。すべての施設を直接調査した確定値でも、医療・介護連携の質や実際の診療対応力を直接測定した数値でもありません。2027年度介護報酬改定の決定内容でもありません。
協力医療機関の整備状況:特養90.7%、老健94.6%
資料1-1の図表1(資料3ページ)では、必要な要件を満たす協力医療機関を定めていると回答した割合は、介護老人福祉施設90.7%(n=5,570)、介護老人保健施設94.6%(n=1,239)、介護医療院93.8%(n=368)、養護老人ホーム86.0%(n=572)でした。
一方、努力義務の対象となる施設類型では、軽費老人ホーム73.3%(n=454)、特定施設入居者生活介護84.1%(n=458)、認知症対応型共同生活介護80.7%(n=481)という結果です。施設類型ごとに求められる要件が異なるため、これらを単純な順位として評価するのは適切ではありません。
有効回答 n=5,570
有効回答 n=1,239
有効回答 n=481
※この図は資料1-1・図表1からの抜粋。特養・老健は3要件、認知症グループホームは2要件についての回答で、同一条件の比較ではありません。
義務化と経過措置:2027年3月31日まで
2024年度介護報酬改定では、施設サービス等について、常時相談対応、常時診療、入所者の入院を原則受け入れる体制を備えた協力医療機関を定めることが義務化され、2027年3月31日まで経過措置が設けられています。入院受け入れに関する要件は病院に限るなど、詳細な条件があります。
居住系サービスの一部では、相談・診療に関する体制を備えた協力医療機関を定めることは努力義務です。施設の類型、指定状況、医療機関の機能によって取り扱いが異なるため、個別案件では最新の通知や指定権者への確認が必要です。
「まだ検討していない」施設もある
同資料では、要件を満たす協力医療機関を定めていない施設のうち、まだ検討を行っていない割合が施設系サービス・養護老人ホームで6.6〜13.8%、居住系サービス・軽費老人ホームで14.1〜27.8%と報告されました。ただし、これは未整備と回答した施設を母数とした割合であり、施設全体に対する割合ではありません。
「協議先が見つからない」「周辺の医療資源が限られる」といった課題がある場合、単に医療機関の名前を紹介するだけでは、体制整備が完了するわけではありません。医療機関側の受け入れ条件や診療体制と、施設側の希望する役割を具体的にすり合わせる必要があります。
調査速報値(案)は、施設が協力医療機関を「定めているか」を中心に把握したものです。実際の急変時に必ず診療・入院が実現することや、個々の連携の質を保証するものではありません。
「指定した」だけで、現場の連携は完成しない
ここからは株式会社メディケアプロモーションによる営業実務上の考察です。協力医療機関を定めた後も、施設職員が「誰に」「どの時間帯に」「どのような症状で」連絡するのかを理解していなければ、急変時の連絡が滞る可能性があります。
連携の実効性を高めるには、窓口の共有、連絡経路の確認、受け入れが難しいケースの明示、定期的な情報更新など、地道なすり合わせが重要です。施設と医療機関との正式な協定や診療体制の構築は、当事者が責任を持って進める必要があります。
Motherが地域に届けるべき「具体的な情報」
株式会社メディケアプロモーションのMotherは、訪問診療・訪問看護・介護事業所などのサービス情報を、ケアマネジャー、病院地域連携室、介護施設などの地域の支援者に届ける営業支援です。
施設への周知では、たとえば訪問診療の対象となる方、訪問可能エリア、夜間の連絡方法、初回相談の流れ、協力医療機関として対応できる範囲を、事業所側で確認した内容に限って案内します。パンフレットに「24時間対応」と記載する場合も、実際の連絡体制と診療体制を区別して表現します。
①診療・サービスの対象 ②訪問・対応エリア ③平時と夜間・休日の連絡窓口 ④急変時の相談手順 ⑤受け入れ条件と対応できない範囲 ⑥最新の情報更新日。
※医療機関との協定締結、診療・入院受け入れ、法令上の要件適合をMotherが保証するものではありません。
「数は質の元」——周知活動の量を土台にする
必要なときに事業所を思い出してもらうには、地域の関係者に情報が届いていることが前提です。Motherでは「数は質の元」という考え方を大切にしています。十分な訪問件数を確保し、対応可能な範囲を正確に伝える。その積み重ねが、地域での認知や理解を育てる土台になります。
担当者が不在の際の資料手渡し・投函も、周知活動の一部です。対話できた場合は、現場から出た質問や情報の不足点を記録し、次の説明に活かします。地域、時期、訪問先、件数を伴わない少数の反応を全国一般の傾向として語らないことも大切です。
施設と在宅医療を結ぶ営業活動の境界線
今回の調査が示すのは、協力医療機関の整備状況と課題です。そこから「営業訪問をすれば協定が結ばれる」「利用者紹介が増える」と結論づけることはできません。地域連携営業の役割は、事業所の存在と対応内容を正確に周知し、必要な相談につながるきっかけをつくることです。
新規開設や多拠点展開で、各地域の施設・病院・居宅介護支援事業所へ継続的に情報を届けたい企業には、地方展開・新規開設の地域連携営業BPO「THRIVE」という選択肢もあります。Motherは個別事業所、THRIVEは広域展開を担う本社向けという役割分担です。
まとめ|医療機関の「名前」から、連携の「中身」へ
2026年10月26日公表の速報値(案)では、多くの高齢者施設が要件を満たす協力医療機関を定めていると回答しました。しかし、未整備の施設もあり、施設類型によって義務と努力義務の違いがあります。調査の割合は、回答施設と対象要件を確認して読む必要があります。
制度上の体制整備を担うのは施設と医療機関です。一方、地域連携営業にできるのは、現在対応できる内容を、必要な相手に、繰り返し正確に届けること。数を土台に情報を重ね、地域で思い出される事業所を増やしていく。これがMotherの考え方です。
・厚生労働省「第33回介護報酬改定検証・研究委員会(2026年10月26日)資料」
・資料1-1「高齢者施設等と医療機関の連携体制等にかかる調査研究事業(速報値)(案)」(資料2〜5ページ:調査対象・回収率・整備割合・未整備施設の状況)
・厚生労働省「社会保障審議会(介護給付費分科会)」開催一覧
※情報基準日:2026年10月28日。速報値(案)と当社の考察を区別しています。2027年度報酬改定の決定内容を示すものではありません。
よくある質問
特養の90.7%は全国すべての特養の割合ですか?
2026年6〜8月に実施した調査の有効回答5,570施設を母数とする速報値(案)です。全国のすべての施設について確定した数値ではありません。
協力医療機関を定めることは、すべての施設で義務ですか?
いいえ。施設類型により義務・努力義務と必要要件が異なります。施設サービス等の義務化には2027年3月31日までの経過措置があります。個別の適用は最新の制度資料で確認してください。
協力医療機関が決まれば、急変時の診療や入院は必ず受けられますか?
いいえ。協力医療機関を定めていることと、個別の患者の診療・入院の受け入れが必ず実現することは同義ではありません。具体的な連絡手順と医療機関の対応条件を確認する必要があります。
訪問診療事業所が地域に伝えるべき情報は何ですか?
対象となる患者像、対応エリア、初回相談の窓口、夜間・休日の連絡方法、急変時の対応範囲、情報更新日などです。確認済みの事実に限って案内することが重要です。
Motherは協定締結や利用者紹介を保証しますか?
いいえ。Motherは事業所の情報を地域の支援者へ届ける営業支援です。医療機関との協定締結、診療・入院の実施、利用者紹介件数や契約成立を保証しません。
