2026年10月28日、地域区分の「対応案」が示された

厚生労働省は2026年10月28日の第272回社会保障審議会介護給付費分科会で、2027年度(令和9年度)介護報酬改定に向けた資料3「地域区分(改定の方向性)」を提示しました。ここで示されたのは審議のための対応案であり、2027年度の各市町村の地域区分が確定したわけではありません。

地域区分とは、介護サービスの提供に必要な費用のうち、主に人件費の地域差を介護報酬に反映する仕組みです。地域ごとの上乗せ割合は、原則として国家公務員または地方公務員の地域手当を参照して設定されています。

制度の状態:
この記事の制度説明は2026年10月28日の厚生労働省資料に基づきます。「対応案」「見直し案」「検討中」の事項を、確定した2027年度の算定ルールとして扱わないでください。市町村別の確定級地・上乗せ割合は、今後の正式な告示等で確認する必要があります。

なぜ地域区分の見直しが議論されているのか

厚生労働省資料によると、公務員の地域手当は2025年度から段階的に、級地区分を設定する単位の広域化や、7区分から5区分への再編が進められています。介護報酬の地域区分も、従来の準拠関係を踏まえた整理が必要になったことが今回の議論の背景です。

ただし、地域手当の再編を機械的に適用すると、上乗せ割合が下がる地域の事業所では報酬単価や人材確保への影響が懸念されます。分科会資料には、経営や賃金への急激な影響を避けるべきだという意見も整理されています。

対応案のポイントは「原則・経過措置・隣接特例」

原則:最新の民間賃金の状況を反映した国家公務員・地方公務員の地域手当に準拠することを基本とする案です。

経過措置:市町村の意向を踏まえ、従前の上乗せ割合を維持することも可能な措置を設ける案です。資料では令和11年度末(2030年3月末)までを想定し、その後は令和12年度改定時に改めて市町村の意向を確認する方向が示されています。

隣接特例:公務員の地域手当の級地区分再編を踏まえ、従来の「5級地差」「4級地差」に関する扱いを見直し、「3級地差ルール」を設ける案です。隣接する自治体との大きな級地差に配慮する考え方ですが、具体的な適用地域はまだ確定していません。

市町村への意向調査:回答1,741自治体の内訳

資料3の9ページには、2026年2月に行った市町村への意向確認の結果が示されています。表に掲載された回答は計1,741自治体で、内訳は次のとおりです。

  • 1,088自治体(62.5%):公務員の地域手当に準拠し、現行と上乗せ割合が変わらないため特段の意向なし。
  • 438自治体(25.2%):準拠すると現行より上乗せ割合が上がるため特段の意向なし。
  • 140自治体(8.0%):現行と同じ上乗せ割合を希望し、経過措置を希望。
  • 75自治体(4.3%):その他の回答。

この数字は2026年2月の意向調査の回答内訳であって、2027年度に実際に級地が変更される自治体数を表すものではありません。資料も、当該調査は2027年度からの地域区分を提示したものではないと明記しています。

数値の注意:
1,088+438+140+75=1,741自治体。資料3・9ページの回答区分を合計した数です。割合は資料記載の小数第1位を使用しています。全国の事業所数や、改定後の確定した自治体数ではありません。

「市境」を越える営業で、制度と生活圏を混同しない

ここからは株式会社メディケアプロモーションの地域連携営業上の考察です。地域区分は事業所の収支に関わる制度上の地域設定です。一方、利用者の生活圏やケアマネジャー・医療機関の連携範囲は、必ずしも市町村境界で完結しません。

例えば、隣接する市町村に複数の事業所を持つ法人は、地域ごとの報酬上の条件と、実際の紹介・相談・訪問エリアを別の地図で管理すると整理しやすくなります。級地の変更案だけを見て営業先を増減するのではなく、各事業所が実際に対応できる区域、職員配置、連絡体制を確認することが先です。

Motherの地域周知で伝えるべき5つの情報

株式会社メディケアプロモーションが運営するMotherは、ケアマネジャー、地域包括支援センター、病院地域連携室などに事業所情報を届ける営業支援です。介護報酬の地域区分を決めたり、制度適用を判断したりするサービスではありません。

  • 対応可能な市町村・町丁目:制度上の級地ではなく、実際のサービス提供可能範囲。
  • サービス内容:対象者、受け入れ条件、専門職配置、提供時間。
  • 相談窓口:初回問い合わせ先と受付時間、緊急時の扱い。
  • 現在の受け入れ状況:最新情報と確認日。空き状況は変動することを明記。
  • 更新時の連絡方法:内容変更時に地域の関係者へ知らせる経路。

制度改定の話題が地域で注目される時期こそ、事業所の案内資料を点検する機会です。ただし、「地域区分が上がるから利用者が増える」「営業訪問で紹介を獲得できる」といった因果関係は、この審議資料からは導けません。

「数は質の元」——情報の到達を積み重ねる

地域の支援者が必要なときに事業所を思い出すためには、まず存在と対応内容が知られていることが必要です。Motherでは「数は質の元」という考え方を大切にし、訪問先の選定、十分な周知件数、資料内容の正確さを積み重ねます。

面談できた回数だけを成果とみなすのではなく、資料の手渡し・投函も含めて情報が届く機会をつくり、現場の質問が得られたときは不足情報の改善に活かします。訪問による周知は問い合わせのきっかけづくりであり、利用者紹介や契約の成立を保証するものではありません。

多拠点展開では「制度地図」と「営業地図」を分ける

複数地域へ事業を展開する本社にとっては、地域区分の検討状況、人口動態、医療・介護資源、事業所の提供範囲を別々に整理した上で、地域連携営業の優先順位を考えることが有用です。制度情報は公式資料で更新し、現場の情報は実際の訪問・確認で更新するという役割分担が重要になります。

新規開設や地方展開で、各地域の支援者への周知を継続したい法人には、地方展開・新規開設の地域連携営業BPO「THRIVE」もあります。個別事業所向けのMotherとは対象規模が異なりますが、情報を正確に届けるという基本は共通しています。

まとめ|地域区分の改定案と、地域連携営業の実務を分けて考える

2026年10月28日に示されたのは、2027年度介護報酬改定に向けた地域区分の対応案です。公務員の地域手当への準拠を原則に、経過措置や隣接自治体への特例を検討しています。市町村ごとの級地は今後の正式な決定を確認する必要があります。

地域連携営業がいま実行できることは、級地の予想ではなく、事業所が実際に対応できる内容を地域の関係者へ繰り返し正確に届けること。制度と現場を分けて捉え、地域で思い出される機会を増やしていきます。

参考資料・情報基準日
・厚生労働省「第272回社会保障審議会介護給付費分科会(2026年10月28日)資料」
・資料3「地域区分(改定の方向性)」(7〜13ページ:現行制度、意向調査、対応案、経過措置・特例)
・厚生労働省「介護給付費分科会」開催一覧
※情報基準日:2026年10月29日。制度上の事実・対応案と当社の営業実務上の考察を区別しています。

よくある質問

2027年度の介護報酬地域区分はもう決まったのですか?

いいえ。2026年10月28日に示されたのは分科会での対応案です。市町村別の確定した級地や上乗せ割合は、今後の正式な資料で確認する必要があります。

地域区分は何のための制度ですか?

介護サービスにかかる人件費などの地域差を、介護報酬の単価に反映するための仕組みです。地域ごとの民間賃金水準を反映した公務員の地域手当への準拠が原則とされています。

経過措置はいつまでの案ですか?

厚生労働省の2026年10月28日資料では、令和11年度末(2030年3月末)までの経過措置案が示されています。正式決定した期間ではありません。

2026年2月の自治体調査で、438自治体の級地が上がると確定したのですか?

いいえ。438自治体は、地域手当に準拠すると現行より上乗せ割合が上がるため特段の意向なしと回答した自治体数です。2027年度の確定した変更自治体数ではありません。

Motherは介護報酬の改定対応や利用者紹介を保証しますか?

いいえ。Motherは事業所の対応内容をケアマネジャー等の地域関係者へ周知する営業支援です。制度解釈の最終判断、報酬の算定、利用者紹介や契約成立を保証するものではありません。

編集担当:Mona|株式会社メディケアプロモーション

介護・障がい福祉・訪問医療の地域連携について、公開一次資料と営業実務の考察を分けて発信しています。