2026年10月19日、ICT情報連携の「対応案」が示された
第271回社会保障審議会介護給付費分科会の資料3「訪問看護(改定の方向性)」では、2027年度介護報酬改定に向けた論点の一つに「訪問看護におけるICT等の活用の推進」が掲げられました。
対応案は大きく二つです。一つは、訪問看護事業所の看護師等がD to P with Nによるオンライン診療の補助を行った場合の評価を新設すること。もう一つは、訪問看護ステーションが地域の医療機関等とICTを用いて情報連携した場合の評価を設けることです。
2026年10月19日の資料にある二つの項目は、2027年度介護報酬改定に向けた対応案です。2026年10月29日時点で、介護報酬上の新たな単位数、算定要件、対象となるICTの仕様が確定したわけではありません。
確定済みの取扱いと2027年度の検討案を分ける
医療側で評価
取扱いを明確化
評価を検討中
確定済みの診療報酬:2026年度診療報酬改定では、訪問看護事業所の看護師等が患者宅でオンライン診療を補助する場合の評価や、ICTで共有された診療情報等を活用して訪問看護を計画的に管理する場合の「訪問看護医療情報連携加算」が医療保険側に設けられています。
介護保険の現行取扱い:資料には、訪問看護指示書の有効期間内で、訪問看護計画書上予定されていない訪問においてオンライン診療を補助した場合、次期介護報酬改定までの間、月1回を限度に20分未満の訪問看護費を算定する取扱いが示されています。指定訪問看護ステーションは314単位、病院・診療所は266単位、介護予防ではそれぞれ303単位、256単位です。
2027年度の検討案:今回の対応案は、こうした取扱いを踏まえ、介護報酬の体系でどう評価するかを検討する段階です。現行の取扱いがそのまま新制度の要件・単位数になると決まったわけではありません。
D to P with Nは「画面をつなぐ時間」だけではない
D to P with Nは、医師(Doctor)が患者(Patient)をオンラインで診療する際、患者側に看護師等(Nurse)が同席して診療を補助する形です。厚生労働省資料に掲載された令和7年度調査では、医師の診察・診療補助そのものは平均9.7分でしたが、診察前の情報収集、通信環境の確認、診察後の療養支援を含む平均時間の合計は35.9分でした。
項目ごとの回答件数は69~82件で、全国の全事業所を代表する値ではありません。それでも、オンライン診療の補助には、通信だけでなくアセスメント、機器準備、診療後のフォローが伴うことを示す参考になります。
35.9分は、資料に記載された各工程の平均時間(情報収集11.2分、通信環境5.9分、診療補助9.7分、診療後支援9.1分)の合計です。各項目の回答者数が異なるため、同一の35.9分をすべての事例に一律適用できるという意味ではありません。
ICT連携の効果は「時短」だけで捉えない
同資料が引用する全国訪問看護事業協会の2024年アンケートでは、ICTを地域連携に利用している場合の効果として、「時間の短縮」75.6%、「連絡もれの防止」64.4%、「患者のQOL向上」40.3%が示されています。
ただし、これはアンケート回答者が挙げた効果であり、ICT導入だけでQOL向上が生じるという因果関係を証明した数値ではありません。導入ツール、地域、対象事業所の条件によって結果は異なります。
ここからは考察|地域連携営業で伝える情報も変わる
ここからは、公開資料を踏まえた株式会社メディケアプロモーションの地域連携営業上の考察です。報酬評価の有無にかかわらず、病院、診療所、居宅介護支援事業所等が連携先を検討する際は、訪問可能エリアや空き状況だけでなく、どのように情報を受け取り、誰が確認し、どう返すかも重要な判断材料になっていくと考えられます。
「ICT対応」とだけ書いても、具体的な連携像は伝わりません。地域向けの案内資料や訪問時の説明では、実際に運用できる内容を次のように分解すると確認しやすくなります。
- 対応可能な連携手段:電話、FAX、地域連携システム、セキュアなメール等。製品名を出す場合は現在利用中か確認する。
- 確認時間と担当:連絡を確認する曜日・時間帯、通常連絡と緊急連絡の窓口。
- 共有できる情報:訪問記録、バイタル、服薬状況、画像、看護サマリー等。本人同意や運用ルールの範囲内で示す。
- 緊急時の流れ:状態変化時に誰へ、どの順序で連絡するか。ICTだけに依存しない代替手段も確認する。
- 受け入れ条件:対応可能な医療処置、対象地域、曜日、24時間対応の有無を事実に沿って記載する。
- 情報の基準日:資料の更新日と問い合わせ先を明記し、運用変更時に差し替える。
Motherの役割は「連携可能性」を正確に届けること
株式会社メディケアプロモーションが運営するMotherは、訪問看護ステーション等のサービス内容を、ケアマネジャー、病院地域連携室、地域包括支援センターなどへ届ける営業・集患支援です。ICTシステムの導入支援や、介護報酬の算定可否を判断するサービスではありません。
地域連携営業で大切なのは、導入予定や検討中の機能を、すでに利用できる機能として案内しないことです。例えば「連携システム導入予定」であれば、稼働予定日、対象となる連携先、正式運用までの連絡方法を分けて記載します。運用中であっても、連携先ごとに利用条件が異なる場合は、その範囲を明確にします。
「ICT対応」より、連携の場面を具体化する
営業資料では、抽象的な機能名よりも、地域の支援者が利用場面を想像できる表現が役立ちます。例えば「ICT連携可能」だけではなく、「主治医と合意した方法で、訪問時の状態変化を当日中に共有」「退院時に指定された連携システムへ参加可能」など、確認済みの運用を示します。
一方で、「迅速な対応」「切れ目のない連携」といった言葉は、対応時間や対象範囲が曖昧なままでは誤解を招きます。連絡手段、受付時間、緊急時対応、担当者をセットで伝えることが、連携先との期待値をそろえる第一歩です。
多地域展開ではツール名より「運用の共通項」をそろえる
複数地域で訪問看護や在宅サービスを展開する法人では、地域ごとに採用されている情報連携の仕組みが異なることがあります。本部が一つのツール名だけで標準化しようとするより、本人同意の取得、緊急連絡、担当者確認、記録保存、障害時の代替手段といった運用の共通項を決め、地域差を別表で管理する方が実務に沿います。
地方展開や新規開設に伴い、地域ごとの連携先調査と継続的な周知体制を整えたい法人には、地方展開・新規開設の地域連携営業BPO「THRIVE」もあります。制度やシステムの導入を代行するものではなく、各拠点の実際の対応内容を地域へ届けるための営業支援です。
まとめ|報酬の確定を待たず、連携情報の棚卸しはできる
2026年10月19日に示されたのは、訪問看護のD to P with Nと、地域の医療機関等とのICT情報連携を2027年度介護報酬で評価する対応案です。具体的な単位数や算定要件は今後の正式決定を確認する必要があります。
一方、地域連携営業では、報酬の結論を待たずに、対応できる連携手段、確認体制、緊急時の流れ、受け入れ条件を最新情報にそろえることができます。制度上の評価と事業所の実運用を分け、連携先が判断できる情報として丁寧に届けることが重要です。
・厚生労働省「第271回社会保障審議会介護給付費分科会(2026年10月19日)資料」
・資料3「訪問看護(改定の方向性)」(35~41ページ:D to P with N、ICT情報連携、調査結果、対応案)
・厚生労働省「社会保障審議会(介護給付費分科会)」開催一覧
※情報基準日:2026年10月29日。制度上の確定事項・対応案と、当社の地域連携営業上の考察を区別しています。
よくある質問
訪問看護のICT情報連携は2027年度介護報酬で評価されると決まったのですか?
いいえ。2026年10月19日の厚生労働省資料では対応案として示されています。具体的な単位数、算定要件、対象となる連携方法は、今後の正式資料で確認する必要があります。
D to P with Nとは何ですか?
医師が患者をオンラインで診療する際、患者側に看護師等が同席し、情報収集、機器の準備、診療の補助、診療後の療養支援などを行う形です。
資料にある314単位は2027年度の新しい単位数ですか?
いいえ。訪問看護計画上予定されていない訪問でオンライン診療を補助した場合について、次期介護報酬改定までの間に適用する現行の取扱いです。2027年度の新たな評価内容は未決定です。
どのICTツールを導入すれば新しい評価の対象になりますか?
2026年10月29日時点では、2027年度介護報酬の対象ツールや技術要件は確定していません。導入判断は、正式な告示・通知等と地域の連携先の運用を確認して行う必要があります。
MotherはICT導入や介護報酬の算定を支援しますか?
Motherは、事業所の対応内容を地域のケアマネジャーや医療機関等へ届ける営業支援です。システム導入、セキュリティ認証、介護報酬の算定判断を行うサービスではありません。
