「空室があります」だけでは、地域の選択肢になれない
障がい者グループホームが地域の相談支援事業所に伝える情報は、空室数や所在地だけで十分でしょうか。たとえば、環境の変化に強い不安を感じる方、感覚刺激への配慮が必要な方、専門的な行動支援を必要とする方の場合、住まいの選択には本人の希望と、事業所が実際に提供できる支援の両方が欠かせません。
2026年10月30日に開かれた厚生労働省の第67回障害福祉報酬改定検討チームでは、強度行動障害の状態にある方への支援について、専門人材の訪問・遠隔支援の評価などが検討されました。ここから見えてくるのは、単なる「空室情報」ではなく、受入れ体制を正確に伝える地域連携の必要性です。
厚労省資料の論点:訪問支援と遠隔支援の評価を分ける案
同検討チームの資料1(資料上143ページ付近、PDFの144ページ付近)では、「集中的支援加算」に関して、専門人材が現場を訪れる支援と、テレビ電話等による遠隔支援の負担・費用の違いが論点とされています。
現行では、訪問と遠隔が一律の評価となっていることが課題として挙げられ、支援形態ごとに異なる単価を設定する方向で見直すことが検討されています。現場を直接確認して環境調整を行う訪問支援の意義も示されています。
2026年10月30日の厚労省資料は、集中的支援加算の訪問・遠隔の評価差、専門性に応じた評価を検討課題として提示しています。広域的支援人材は2025年度時点で88人と記載されています。
2027年度の具体的な加算単価、要件、適用時期はこの資料だけでは確定しません。事業所は最終的な告示・通知を確認する必要があります。
厚労省資料に記載された「88人」は2025年度時点の広域的支援人材の配置数であり、全国の支援者全体の人数を示すものではありません。数値の対象と時点を混同しないことが重要です。
数字で見る課題|専門支援を必要とする人と、支援につながる仕組み
同資料には、2025年7月時点の障害福祉データベースに基づき、行動関連項目10点以上の対象者が128,694人、そのうち18点以上が26,468人と示されています。ただし、データ未提出の自治体があり、全数を網羅していない可能性があると注記されています。
一方、2026年4月の国保連データでは、介護サービス包括型共同生活援助の「集中的支援加算」の算定率が0.02%と記載されています。この割合だけで支援の必要性や質を評価することはできませんが、制度上の専門支援が十分に活用されているかを考える材料になります。
ここで注意したいのは、「行動関連項目の点数」だけで個別の受入れ可否を決めないこと。本人の状態、環境調整、職員体制、関係機関との連携、本人の意向などを総合して判断する必要があります。
図解|「空室情報」から「支援体制の見える化」へ
職員配置
対応できる時間帯
研修・専門職連携
環境調整の方法
医療機関等
連絡先・相談の手順
この図は当社による営業・情報発信の整理であり、厚労省が示した制度フローではありません。個々の利用者の紹介や、本人の意思に反する入居誘導を意味するものでもありません。
相談支援専門員が知りたい「5つの情報」
ここからは、株式会社メディケアプロモーションの地域連携営業の視点です。事業所の情報を伝える際は、パンフレットの見栄え以上に、相手が具体的な相談を検討できる情報の整理が重要と考えます。
- 支援の範囲:どのような障がい特性や生活上の困りごとに対応できるか。できないことも明示する。
- 人員・研修:夜間を含む支援体制、強度行動障害支援者養成研修の受講状況、外部専門家への相談経路。
- 住環境:個室、生活音、動線、見通しの良さ、刺激への配慮など、環境調整の可能性。
- 連携方法:医療機関・相談支援事業所・家族等との連絡方法、緊急時の相談先。
- 確認の手順:見学や体験利用、本人の意思確認、個別の受入れ検討をどのように進めるか。
Motherが届けるのは、利用者ではなく「地域に知ってもらう機会」
Motherは、相談支援事業所等へ事業所の支援内容や相談窓口を周知する、固定報酬型の地域連携営業支援サービスです。個々の利用希望者を紹介・あっせんする業務や、入居成立に応じた紹介料の受領をサービス内容とはしていません。
障がい者グループホームの利用者紹介の対価として利益を供与する行為と、事業所の情報を地域へ届ける活動は、区別して考える必要があります。ただし、固定報酬という名称だけで適法性が保証されるわけではなく、契約と業務の実態が重要です。地域への周知は、利用者本人の選択を尊重するための情報提供として行われるべきです。
受入れが難しいケースまで「対応可能」と案内してしまえば、相談支援専門員との信頼を損ねます。できることと、できないことを正確に伝える。その積み重ねが地域での想起につながると考えます。
多拠点展開では、共通資料と地域情報を分ける
複数拠点を運営する法人は、法人全体の支援方針と、各ホームの実際の職員配置・受入れ条件を分けて整理する必要があります。共通のパンフレットだけでは、地域の相談支援事業所が個別拠点の違いを把握しにくいことがあります。
本社主導で新規開設や地方展開の周知活動を設計する場合には、地方展開・新規開設の地域連携営業BPO「THRIVE」という選択肢もあります。個別の利用者紹介ではなく、拠点情報を地域へ届ける仕組みづくりを支援します。
まとめ|「空室があります」から「この支援ができます」へ
2026年10月30日の厚生労働省資料では、強度行動障害の状態にある方への集中的支援について、専門人材による訪問と遠隔の支援形態の違いを踏まえた報酬評価などが検討課題として示されました。2027年度の改定は未決定です。
一方、グループホームが地域に伝えるべき情報は、制度が決まるのを待たずに整えられます。空室の有無だけでなく、支援体制、環境調整、連携窓口、受入れの判断手順を正確に伝えること。地域連携は「利用者を集めるための近道」ではなく、本人に合った選択肢を見つけやすくするための土台です。
・厚生労働省「第67回障害福祉報酬改定検討チーム」資料(2026年10月30日)
・同・資料1「強度行動障害の状態にある者等への支援に係る報酬・基準について」資料上140〜145ページ付近
※情報基準日:2026年11月2日。数値の時点は2025年7月、2025年度、2026年4月など資料の注記に従い明記。制度の事実、検討の方向性、当社の考察を区別しています。
よくある質問
2027年度に集中的支援加算の単価が変わることは決まりましたか?
いいえ。2026年10月30日の検討資料では、訪問・遠隔の支援形態に応じた評価の見直しが検討されていますが、具体的な単価・要件は未決定です。
「広域的支援人材88人」は全国の支援者の総数ですか?
いいえ。厚労省資料に示された2025年度時点の広域的支援人材の配置数です。強度行動障害支援に関わる全職員数を意味しません。
空室があれば、強度行動障害の状態にある方を受け入れられますか?
空室の有無だけでは判断できません。本人の希望、支援の必要性、職員体制、住環境、専門家との連携などを踏まえた個別の検討が必要です。
相談支援専門員には何を伝えるとよいですか?
空室に加えて、対応できる支援範囲、研修・職員体制、住環境、医療等との連携、見学や体験利用の手順を正確に伝えることが役立ちます。
Motherは利用者の紹介料を受け取るサービスですか?
いいえ。Motherは個々の利用希望者の紹介・あっせんではなく、事業所情報を地域の関係機関へ周知する固定報酬型の営業支援です。法令上の評価は契約・業務実態に基づくため、単に固定報酬というだけで適法性が保証されるものではありません。
