2026年10月28日公表、離島・中山間・豪雪地域の調査速報
厚生労働省は2026年10月28日の第272回社会保障審議会介護給付費分科会で、資料4-2「離島・中山間地域・豪雪地帯等における各種加算等の在り方の調査・検証研究事業(速報値)(案)」を公表しました。対象には訪問介護、訪問看護、通所介護、居宅介護支援、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などが含まれます。
この資料の目的は、サービス提供実態、経営状況、加算の活用状況を把握し、今後の支援や評価の在り方を検討するための基礎資料を得ることです。2027年度の加算や報酬が決定した資料ではありません。
本記事で引用する数値は、2026年10月28日に公表された速報値(案)に基づきます。地域・サービス別で抽出率が異なり、参考集計には単純集計が含まれます。特定地域の数値を全国の全事業所に一般化しないことが重要です。
調査規模と、比較する際の注意点
資料1ページの事業所調査では、居宅療養管理指導以外の中山間地域等について、25,772事業所へ調査票を発送し、8,297件を回収(回収率32.2%)しています。回収状況の基準は2026年10月5日時点です。自治体調査は1,788件に発送し、1,045件を回収(58.4%、同月6日時点)しています。
「中山間地域等」は山村・過疎地域だけでなく、離島や豪雪地帯等、各種加算の対象となる法令上の地域を含みます。複数の地域区分が重なることもあり、地理的条件・対象サービス・調査母集団をそろえずに比較すると誤解を生みます。
速報から見える3つの課題
提供件数の制約
車両維持の負担
地域へ正確に周知
① 事業所規模と稼働は全国値と異なる
資料のエグゼクティブ・サマリーによると、訪問介護・訪問入浴介護・福祉用具貸与・訪問看護では、1事業所あたりの換算人員が全国値より少ない傾向が見られました。また、多くのサービスで、換算人員1人あたりの月間サービス提供件数が全国値より少ない結果でした。
これは「努力が足りない」という意味ではありません。対象人口の分布、移動距離、配置できる職員、サービス提供時間など、地域の条件が異なる可能性を考慮する必要があります。調査は因果関係を確定するものではないため、理由を単一要因に決めつけないことも大切です。
② 移動時間と燃料・車両費が無視できない
訪問介護の平均移動時間では、「15分以上30分未満」が最も多く、次いで「5分以上15分未満」が多い結果でした。平均移動時間が短い事業所ほど、勤務8時間あたりのサービス提供件数が多くなる一定の傾向も報告されています。
費用負担については、訪問介護事業所が負担を大きく感じる項目としてガソリン代、人件費、車両の調達・維持管理費が多く挙げられました。移動は利用者へのサービス提供に欠かせませんが、その時間と費用が地域の供給体制に影響することがうかがえます。
③ 加算の活用状況にも差がある
同資料の概要では、対象事業所のうち特別地域加算はおおむね9割以上が算定していた一方、小規模事業所加算はおおむね7割前後、中山間地域等に所在する通所系事業所のサービス提供加算はおおむね3割前後と整理されています。これは調査対象と算定要件を限定した結果であり、全事業所の算定率ではありません。
営業活動で加算を説明する場合は、制度上の対象地域と実際の算定要件を確認し、利用者や連携先に未確認の料金・加算を断定して伝えないことが重要です。
地域連携営業の実務:距離ではなく「受け入れ条件」を届ける
ここからは株式会社メディケアプロモーションの営業実務上の考察です。中山間・豪雪地域では、地図上の直線距離だけでは実際のサービス提供可能範囲を判断できません。道路状況、季節、訪問時間帯、職員配置などにより、同じ市町村内でも対応の可否が変わることがあります。
ケアマネジャーや病院の地域連携室が必要とするのは、事業所の名前だけではなく、「どの地域に、どの条件で、いつ相談できるか」という情報です。訪問先へ配る資料では、次の項目を優先して整理することを提案します。
- 対応可能地域:市町村名だけでなく、地区・町丁目・山間部・島しょ部などの条件を明示する。
- 冬季の運用:積雪・凍結・荒天時の訪問判断、連絡経路、代替対応の有無を事業所内で確認する。
- 受け入れ条件:提供できる曜日・時間帯、対象となる医療処置や介護ニーズ、職員配置上の制約を示す。
- 相談窓口:ケアマネジャー・MSW・相談支援専門員が連絡しやすい窓口と受付時間を統一する。
- 情報の更新日:受け入れ可否は変動するため、パンフレットや案内に確認日を付ける。
本資料から「営業訪問を増やせばサービス提供件数が増える」「特定の営業手法で赤字が解消する」といった結論は導けません。地域周知はサービスを必要とする人と事業所が出会うきっかけづくりであり、利用者獲得を保証するものではありません。
Motherが重視する「地域で思い出してもらう」ための周知
株式会社メディケアプロモーションのMotherは、介護・障がい福祉・訪問医療の事業所情報を、ケアマネジャー、地域包括支援センター、病院地域連携室、相談支援事業所などへ届ける地域連携営業支援です。
人手や移動時間が限られる地域では、事業所の職員が利用者支援と地域周知の両方を担うことが難しい場面もあります。そこで、誰に何を伝え、いつ更新するかを明確にし、地域で必要なときに思い出してもらえる情報接点を継続することに意味があります。
Motherがつくるのは紹介や契約の保証ではなく、相談のきっかけです。地域の現場から得られた質問は、個人情報を適切に扱ったうえで案内資料の改善につなげる。訪問件数だけでなく、情報の正確さと到達先の適切さを点検する姿勢が重要です。
多拠点展開では、冬季を含む地域ごとの周知設計を
複数の市町村で事業を展開する法人は、地域の人口・介護資源・交通事情・紹介元の分布を分けて整理し、季節変動も考慮して周知計画を立てる必要があります。市町村の境界と実際の生活圏・医療圏は一致しない場合があるため、地域の一次情報を確認することが欠かせません。
地方展開や新規開設に伴い、本社主導で複数拠点の地域周知を整える場合は、地方展開・新規開設の地域連携営業BPO「THRIVE」という選択肢もあります。個別事業所向けのMotherと対象規模は異なりますが、地域ごとに「正しい情報を、必要な人へ届ける」という考え方は共通しています。
まとめ|地域の「遠さ」を、情報の届きにくさにしない
2026年10月28日公表の厚生労働省調査速報は、中山間・豪雪地域等の介護サービスにおいて、人員、稼働、移動、費用の課題を整理しています。これは制度改定の決定事項ではなく、今後の検討に向けた資料です。
地域連携営業が今できることは、制度変更を先取りして約束することではありません。対応できる地域、条件、相談窓口、更新日を明確にし、地域の支援者に届く形で周知すること。距離のある地域ほど、情報の行き違いを減らす取り組みが大切です。
・厚生労働省「第272回社会保障審議会介護給付費分科会(2026年10月28日)資料」
・資料4-2「離島・中山間地域・豪雪地帯等における各種加算等の在り方の調査・検証研究事業(速報値)(案)」(1、4〜5、31〜34ページ)
・厚生労働省「介護給付費分科会」開催一覧
※情報基準日:2026年10月30日。調査結果と当社の地域連携営業上の考察を区別しています。
よくある質問
2026年10月28日の調査は、2027年度介護報酬の確定内容ですか?
いいえ。公表されたのは、制度の検討に用いる調査の速報値(案)です。加算の算定要件や報酬の変更が決定したものではありません。
調査対象の「中山間地域等」には豪雪地帯も含まれますか?
はい。今回の調査では、特別地域加算などの対象地域として定められた地域を対象にしており、豪雪地帯対策特別措置法に関係する地域等も含まれます。
移動時間が短いほど訪問介護の提供件数は増えますか?
今回の速報では、平均移動時間が短い事業所ほど勤務8時間あたりの提供件数が多い一定の傾向が示されました。ただし、移動時間だけが原因と断定できる結果ではありません。
Motherは利用者紹介や契約を保証するサービスですか?
いいえ。Motherは地域のケアマネジャーや医療・福祉関係者に事業所情報を周知し、相談のきっかけをつくる営業支援です。利用者紹介や契約の成立を保証するものではありません。
