医療と福祉の間で、生活の情報は届いているか
「薬は処方されている。でも、飲み忘れが続いている」「通院時には落ち着いているが、自宅では生活リズムが崩れている」。こうした情報は、診察室の中だけでは見えにくいことがあります。障がい福祉の支援者が把握している生活上の変化を、医療機関にどう届けるか。2027年度の障害福祉報酬改定に向け、情報連携の範囲を広げる案が議論されています。
厚労省が示した「日常生活支援情報提供加算」の見直し案
厚生労働省の第67回障害福祉報酬改定検討チーム(2026年10月30日)の資料1、67ページには、「日常生活支援情報提供加算の対象要件の拡大」が論点として掲載されています。
現行の対象サービスは「自立生活援助」と「地域定着支援」。利用者の自立した日常生活を維持するため必要な場合、あらかじめ必要な条件を満たして精神科病院等の職員へ情報提供したとき、資料に記載された現行の評価は利用者1人につき月1回を上限に100単位です。これは障がい福祉サービスすべてに共通する加算ではありません。
今回の検討の方向性は、情報提供先を現行の精神科病院等に加え、広く病院・診療所へ拡大するかどうかというもの。背景には、障がいのある方の高齢化や、生活習慣病・慢性疾患など継続的な健康管理・服薬管理の必要性があります。
自立生活援助・地域定着支援で、必要な生活情報を精神科病院等の職員へ提供する場合を評価。資料上は100単位/回、月1回が上限。
情報提供先を精神科病院等だけでなく、一般の病院・診療所にも広げる方向を検討。対象範囲・要件の最終決定は今後。
図解|「診療情報」と「暮らしの情報」をつなぐ
生活リズム
体調・食事の変化
伝える目的
共有先と更新日
一般病院・診療所
(拡大は検討中)
医療機関に必要なのは、支援者が集めた情報の量ではありません。何が、いつから、どの程度変わったのかを、本人の意思と個人情報保護に配慮しながら共有することが重要です。例えば「服薬が不安定」という抽象的な説明より、「直近1週間で夕食後の服薬確認が難しかった日が複数あった」といった、確認できた事実と期間を示すほうが状況を伝えやすくなります。
「訪問看護も対象になる」と早合点しない
ここは誤解を避けたいところです。今回の資料が明示するのは、自立生活援助・地域定着支援における、医療機関への情報提供先の見直しです。訪問看護ステーションを直接の情報提供先として加算対象にする案が、この論点で決まったわけではありません。
ただし、地域の暮らしを支える実務では、病院・診療所だけでなく、訪問看護、相談支援、居宅介護、グループホームなど多くの関係者が関わります。制度上の算定対象と、日々の適切な連携先は分けて考える必要があります。
地域連携で必要なのは、連絡先の数より「伝わる設計」
ここからは株式会社メディケアプロモーションの営業・地域連携実務上の考察です。制度が変わる前から、医療と福祉の間には、相手が何を知りたいのか分からないまま資料だけが増える課題があります。連携の入口では、次の5点を整理しておきたいところです。
- 対象と役割:自立生活援助、地域定着支援、計画相談支援、グループホームなど、事業所が担う支援の範囲を明示する。
- 連携窓口:病院・診療所、相談支援事業所等が連絡できる担当者、対応時間、緊急時の連絡方法を示す。
- 情報の種類:服薬、生活リズム、食事、受診状況など、必要な範囲を目的別に整理する。
- 本人の意向と個人情報:情報提供の同意、提供範囲、記録・管理の手順を確認する。
- 更新頻度:古い資料のまま連携しないよう、最終更新日と変更時の連絡方法を決める。
Motherは「制度の説明」ではなく、連携のきっかけを届ける
株式会社メディケアプロモーションのMotherは、医療・介護・障がい福祉の事業所情報を地域の関係機関へ届ける固定報酬型の営業支援サービスです。個別の利用者紹介や契約成立を保証するものではなく、地域で必要なときに思い出してもらえる接点をつくることを重視しています。
今回の論点を踏まえれば、自立生活援助・地域定着支援の事業所は「どんな生活支援ができるか」「医療機関からの相談にどう対応するか」を簡潔に示すことが有用でしょう。訪問医療・訪問看護の事業者も、自社の対応範囲や連絡方法を相談支援先へ分かりやすく届けることが大切です。
現場で「どこに連絡すればよいか分からない」「制度の説明は聞いたが、実際の窓口が見えない」といった声があれば、個人が特定されない形で整理し、事業所の案内資料や連携フローの改善に役立てられます。これは全国的な実態調査の結果ではなく、地域で検証すべき実務上の着眼点です。
多拠点法人は、地域ごとの連携窓口を標準化する
複数地域で事業を運営する法人は、同じパンフレットを配るだけでは十分ではありません。地域ごとの医療資源、相談支援体制、連絡経路を把握し、法人共通の説明内容と地域固有の情報を分けて整備すると、現場の案内が安定します。
地方展開や新規開設の際に本社主導で地域への周知体制を整える場合は、地方展開・新規開設の地域連携営業BPO「THRIVE」も関連する選択肢です。Motherと同様、利用者紹介の成果報酬ではなく、地域への情報発信と関係機関への周知活動を支援します。
まとめ|制度が変わる前から、連携の質は変えられる
2026年10月30日の厚生労働省資料では、自立生活援助・地域定着支援の「日常生活支援情報提供加算」について、情報提供先を広く病院・診療所に拡大するか検討する方向性が示されました。2027年度の改定内容は未確定です。
一方、地域で暮らす人を支えるために、医療と福祉の間で必要な情報を正確に届けることは、今から取り組めます。制度の先取りより、相手に伝わる情報と連絡経路の整備。 地域連携は、その積み重ねから始まります。
・厚生労働省「第67回障害福祉報酬改定検討チーム」資料(2026年10月30日)
・同・資料1「自立生活援助、地域移行支援、地域定着支援等に係る報酬・基準について」67ページ(論点2)
・厚生労働省「医療DXについて/医療情報化推進方針」(2026年10月1日)
・厚生労働省「第271回介護給付費分科会」資料(2026年10月19日)
※情報基準日:2026年11月1日。公表資料に基づく制度の事実と、当社の営業・地域連携上の考察を区別しています。
よくある質問
日常生活支援情報提供加算の対象サービスは何ですか?
厚労省の2026年10月30日資料に示された現行の対象サービスは、自立生活援助と地域定着支援です。障がい福祉サービス全般に共通する加算ではありません。
2027年度から一般の病院・診療所への情報提供も加算対象になりますか?
2026年11月1日時点では未決定です。厚生労働省が対象拡大の方向性を検討している段階であり、正式な告示・通知の確認が必要です。
現行の加算は何単位ですか?
厚生労働省の検討資料には、現行の評価として利用者1人につき月1回を上限に100単位と記載されています。算定には所定の要件があります。
訪問看護ステーションも今回の加算の情報提供先ですか?
今回の論点は病院・診療所への情報提供先の範囲を検討するもので、訪問看護ステーションが対象になると決まったわけではありません。
Motherは個別の利用者情報を医療機関へ届けますか?
Motherは個別の利用者情報を取り扱う紹介・調整業務ではなく、事業所のサービス内容や相談窓口を地域の関係機関へ周知する営業支援です。
