認知症とMCIを合わせると、高齢者の約28%
厚生労働省の第264回介護給付費分科会資料では、2022年時点の高齢者における認知症有病率は12.3%、MCI(軽度認知障害)は15.5%とされています。単純合計すると約28%です。
MCIは、もの忘れなどの軽度な認知機能低下が見られる一方、日常生活は自立しており、認知症とは診断されない状態です。
2040年には認知症584.2万人、MCI612.8万人の推計
同資料では、2022年の年齢階級別有病率が今後も一定と仮定した場合、2040年の認知症高齢者は584.2万人、MCI高齢者は612.8万人と推計されています。合わせると約1,197万人です。
「認知症対応できます」では情報が足りない
介護施設、デイサービス、訪問看護、訪問診療などの地域連携営業では、「認知症の方も対応可能です」という説明をよく見かけます。
しかし、ケアマネジャーや医療機関が本当に知りたいのは、より具体的な対応力です。
- 徘徊や帰宅願望が強い場合にどう対応するのか
- 服薬管理が難しい場合に支援できるか
- 独居で認知機能が低下している人を支えられるか
- 家族負担が大きいケースにどんな支援ができるか
- 精神症状や行動・心理症状が出た際の医療連携はどうするか
地域の紹介元にとって重要なのは、事業所名ではなく、「そのケースを安心して相談できるか」です。
独居の認知機能低下高齢者も増える
資料では、独居の認知症高齢者と独居MCI高齢者を合わせた「独居認知機能低下高齢者」は、2025年の250万人から2050年には349万人になると推計されています。
独居の場合、家族が日常的に変化を把握することが難しく、ケアマネジャー、訪問介護、訪問看護、医療機関、薬局、地域包括支援センターなどの連携がより重要になります。
営業先では「空き」より「対応できる困りごと」を聞く
認知症・MCIの人が増えるほど、地域連携営業で聞くべき内容も変わります。
「利用者はいませんか」「空室があります」と伝えるだけでなく、地域のケアマネジャーや包括へ、最近どのような認知症ケースで困っているのかを聞く。
そこで得た情報を事業所へ戻し、対応できるケースと難しいケースを整理する。そして、その結果を再び地域へ伝える。この循環が重要です。
訪問医療・訪問看護にも重要な市場変化
MCIや認知症の人は、認知機能だけでなく、複数の慢性疾患、服薬、低栄養、フレイルなどを抱えているケースも少なくありません。
今後は、訪問診療や訪問看護も「医療処置が必要な人」だけでなく、認知機能低下により通院や服薬管理が難しくなった人を地域で支える役割が大きくなります。
そのため、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、介護施設、薬局との日常的な接点は、患者獲得という意味だけでなく、早期支援のネットワークとして重要になります。
パンフレットに追加したい5つの情報
- 認知症の対応範囲:どのような状態まで対応できるか
- 医療との連携:急変・精神症状・服薬管理への対応
- 独居支援:見守りや他職種との情報共有
- 家族支援:家族への説明・相談体制
- 実際の事例:どんなケースを地域で支えてきたか
まとめ|「誰もが認知症になり得る」を地域連携の前提に
厚生労働省資料は、2022年時点で認知症とMCIを合わせた有病率が約28%であることを示しています。2040年には両者を合わせて約1,197万人という推計です。
これは、認知症を一部の専門事業所だけのテーマとして扱う時代ではなくなることを意味します。
介護、訪問医療、訪問看護、薬局、ケアマネジャー、地域包括。
それぞれが「何をできるか」を具体化し、地域で共有しておく。これからの認知症支援では、その情報連携そのものが重要な地域インフラになると考えます。
よくある質問
MCIとは何ですか?
軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment)の略で、軽度の認知機能低下があるものの、日常生活はおおむね自立しており、認知症とは診断されない状態です。
2040年には認知症高齢者はどれくらいになる見込みですか?
厚生労働省資料では、2022年の有病率が今後も一定と仮定した場合、2040年の認知症高齢者は584.2万人、MCI高齢者は612.8万人と推計されています。
地域連携営業では何を変えるべきですか?
「認知症対応可」という抽象的な説明だけでなく、具体的にどの状態・困りごとへ対応できるのかを整理し、地域のケアマネジャーや医療機関へ伝えることが重要です。
※2026年9月8日時点の公開情報をもとに編集しています。
