在宅医療の課題は「1診療所で24時間」から「地域で24時間」へ

東京都医師会は2026年9月8日の定例会見で、東京都に提出した2027年度予算要望について公表しました。報道によると、24時間診療体制の構築や在宅医療DXの推進などに向け、2026年度から始まった「区市町村在宅療養推進事業」への支援と検証を求めています。

在宅医療では、夜間・休日の急変、医師の負担、訪問看護との連携、病院への入院調整、情報共有など、1診療所だけでは解決しにくい課題があります。

重要なのは「24時間対応できる診療所を増やす」だけではなく、地域の複数機関で24時間を支える仕組みをつくることです。

在宅医療DXも「電子化」だけでは足りない

在宅医療DXというと、電子カルテやオンライン診療などをイメージしがちです。しかし地域連携で本当に必要なのは、患者を支える複数の関係者が、必要な情報を必要なタイミングで共有できることです。

  • 主治医と訪問看護の情報共有
  • ケアマネジャーとの状態変化の共有
  • 薬局との処方・服薬情報の共有
  • 病院への入院時情報提供
  • 退院後の在宅療養体制の確認

つまりDXは、単に紙をなくすことではなく、地域の連携速度を上げる仕組みとして設計する必要があります。

診療所診療・24時間対応
訪問看護・介護日常の変化を把握
病院・薬局入退院・薬剤を支援

区市町村単位で在宅療養を支える意味

在宅療養は、地域ごとに医療資源の密度、病院の配置、訪問看護ステーション数、交通事情、人口構成が異なります。

そのため、全国一律の仕組みだけではなく、区市町村単位で「この地域では誰がどの機能を担うのか」を整理することが必要になります。

東京都内でも、各自治体では在宅療養推進協議会や医療・介護連携の会議を設け、多職種研修、入退院支援、ACP、情報共有などを進めています。

地域連携営業も「誰に紹介してもらうか」から変わる

訪問診療や訪問看護の営業では、居宅介護支援事業所や病院の地域連携室へ訪問し、患者紹介を依頼する形が一般的です。

しかし、24時間体制やDXが地域単位で進むなら、営業で把握すべき相手も増えます。

  • 夜間・休日を補完できる医療機関
  • 対応エリアが重なる訪問看護ステーション
  • 在宅対応薬局
  • 入院受入が可能な病院
  • 地域包括支援センター
  • 自治体の医療・介護連携担当
「患者を紹介してくれる相手」だけを営業先と見るのではなく、「地域の在宅療養を一緒に支える相手」を連携先として見る必要があります。

Motherの訪問活動で集められる情報

地域を実際に訪問していると、ホームページや公開データだけでは分からない情報が見えてきます。

  • どの医療機関が新規患者を受けられるのか
  • 夜間対応で困っている地域はどこか
  • 訪問看護が不足しているエリアはどこか
  • 病院の退院支援担当者が困っていることは何か
  • ケアマネジャーが在宅医療へ相談しにくい理由は何か

こうした一次情報を集め、クライアントへ戻し、地域連携の設計を修正する。この循環は、単純な営業代行とは異なる価値を持ちます。

24時間体制は「営業の強み」ではなく「地域の機能」になる

これまで訪問診療のパンフレットでは、「24時間365日対応」が強みとして大きく掲載されることがありました。

今後は、その24時間対応を自院だけでどう実現しているかだけでなく、地域の医療機関や訪問看護とどう補完しているのかまで説明できる方が、連携先にとって分かりやすくなります。

「24時間対応」という言葉を、広告表現ではなく、実際に機能する地域連携体制として見せる必要があります。

営業資料に追加したい5つの情報

  • 夜間・休日体制:誰がどの時間帯を担うのか
  • 訪問看護連携:連携先と情報共有の方法
  • 入退院連携:急変時・退院時の病院との接続
  • 情報共有:ICTや連絡手段の具体的な運用
  • 対応エリア:無理なく継続できる訪問範囲

まとめ|在宅療養は「地域インフラ」になっていく

東京都医師会が求めているのは、在宅医療を個々の診療所の努力だけで支えるのではなく、地域単位で24時間体制やDXを整えていく方向です。

診療所、訪問看護、ケアマネ、介護事業所、病院、薬局、行政。

これらが互いの役割を理解し、平時からつながっていることが、在宅療養を続けられる地域の条件になります。

営業も同じです。利用者や患者を探す活動だけではなく、地域に必要な連携を見つけ、情報をつなぎ、関係をつくる。これからの在宅医療営業は、ますます「地域インフラを整える仕事」へ近づいていくと考えます。

よくある質問

在宅医療の24時間体制は、1つの診療所ですべて対応する必要がありますか?

地域や体制によって運用は異なります。重要なのは、患者が必要な時に診療や相談を受けられる実効性のある体制を確保することであり、複数機関で補完する地域連携も重要です。

在宅医療DXとは何を指しますか?

電子化だけでなく、診療所、訪問看護、病院、薬局、介護などが必要な情報を適切に共有し、連携を速く確実にする仕組みまで含めて考えることが重要です。

地域連携営業では何を確認すべきですか?

患者紹介の有無だけでなく、夜間対応、訪問看護不足、入退院支援、情報共有など、地域で連携が不足している部分を聞くことが重要です。

参考資料・出典
  • MEDIFAX web「『在宅療養推進事業』の支援・検証を 都医、27年度予算要望」2026年9月8日
  • 東京都保健医療局「東京都在宅療養推進会議・ACP推進部会」関連資料

※2026年9月9日時点の公開情報をもとに編集しています。

株式会社メディケアプロモーション編集部

介護・障がい福祉・訪問医療の営業支援現場で得た知見をもとに、地域連携、営業、広報、AI活用に関する情報を発信しています。

編集担当:Mona