北海道では「訪問すること」自体の負担が違う
株式会社eWeLLは2026年9月25日、9月16日・17日に開催された「CareTEX札幌'26」への出展を通じて得た北海道の訪問看護現場の課題を公表しました。
同社が紹介したデータでは、北海道の訪問看護ステーション1か所あたりの平均カバー面積は約113.7km²。全国平均の約18.9km²に対して約6倍です。また、2022年の調査値として、北海道の1ステーションあたり看護師数は平均約6.6人、全国平均は約6.9人と紹介されています。
上記はeWeLLが2026年9月25日の発表で紹介したデータです。本記事では企業発表に基づく数値であることを明示し、全国の訪問看護事業所すべてに同じ状況が当てはまるとはしていません。
「訪問件数」だけでは地域の難しさは比較できない
訪問看護や訪問介護などの訪問型サービスでは、1日に何件訪問できるかが運営上の重要な指標になります。しかし、同じ5件でも、都市部と広域地域では意味が違います。
事業所から利用者宅までの距離、道路事情、冬季の気象条件、駐車環境、スタッフの配置などによって、1件の訪問に必要な時間とコストは変わります。
DXは「記録時間」だけでなく「移動時間」にも入ってくる
訪問看護DXでは、電子カルテ、音声入力、AIによる記録支援などが注目されてきました。今回のeWeLLの発表では、北海道の現場から「AI訪問予定ルート」への期待も紹介されています。
訪問先の位置や予定を踏まえてルートを効率化できれば、広域地域ほど効果が大きくなる可能性があります。ただし、実際の効果は利用者の状態、訪問時間の指定、緊急訪問、道路・気象条件などにも左右されます。
DXを導入すれば一律に生産性が上がる、と考えるのではなく、「その地域では何が時間を奪っているのか」を先に把握することが重要です。
地域連携営業でも「対応エリア」の意味を具体化する
訪問看護ステーションのパンフレットでは、「○○市全域対応」「○○区・△△区対応」などと記載することがあります。しかしケアマネジャーや病院のMSWが知りたいのは、行政区分としての対応エリアだけではありません。
- 実際にどの地域まで訪問可能なのか
- 遠方地域でも相談できる条件はあるのか
- 曜日・時間帯によって対応可能範囲は変わるのか
- 緊急時や24時間対応の場合、どの範囲まで現実的に対応できるのか
- 新規相談を受けやすい地域と難しい地域はどこか
こうした情報を整理しておくことで、支援者側も具体的なケースを相談しやすくなります。
Motherの訪問記録に「地域条件」を残す
株式会社メディケアプロモーションのMotherは、介護・障がい福祉・訪問医療の事業者に代わり、ケアマネジャー、病院のMSW・PSW、相談支援専門員などへクライアントの情報を届ける地域連携・広報PR支援です。
Motherは利用者・患者の紹介や仲介を行うサービスではありません。地域の支援者へ事業者の情報を届け、必要なときにクライアントへ直接問い合わせてもらえる認知と接点をつくります。
全国で活動するMotherだからこそ、「訪問先の反応」だけでなく、その地域特有の移動やサービス供給の条件を記録する価値があります。
一次情報にするなら「地域・職種・時期」をセットで残す
たとえば、ケアマネジャーから「この地域まで来てくれる訪問看護が少ない」と聞いた場合、その一言だけを全国一般論として記事にすることはできません。
一方で、訪問時期、地域、相手の職種、質問・発言内容を記録し、複数の訪問記録を集計すれば、その地域で起きている傾向を検討する材料になります。
「2026年○月、北海道○地域のケアマネジャー○名への訪問で、○名から移動・訪問範囲に関する質問があった」と記録できれば、Mother独自の地域情報になります。
公開データと現地情報を組み合わせる
地域分析では、人口、高齢化率、事業所数などの公開データが役立ちます。しかし訪問サービスでは、それだけでは実際の提供難易度を把握できません。
公開データで地域構造を把握し、Motherの訪問活動で「実際にどの地域で相談先が不足しているのか」「何が調整を難しくしているのか」を確認する。この2段階で見ることで、地域連携営業の情報価値は高まります。
AI検索時代は「公開情報の鮮度」も重要になる
2026年9月25日には、介護施設の探し方とAI検索をテーマにした民間セミナーの開催も発表されました。主催企業は独自の消費者アンケートをもとに、施設情報の更新やクチコミ、AI検索時代の情報整備を扱うとしています。
この発表の数値は企業調査であり、介護業界全体の公的統計ではありません。ただし、ホームページや地図情報など公開情報を最新に保つ必要性は、地域連携営業とも共通します。現場で伝える内容とWeb上の情報が食い違わない状態をつくることが重要です。
地方展開では「商圏」より「実働圏」を見る
訪問型サービスを地方都市へ展開するとき、人口や高齢者数だけで市場を判断すると、実際の移動負担を見落とすことがあります。開設予定地から主要な居宅介護支援事業所、病院、利用者居住地域まで、現地でどの程度の時間がかかるのかを確認する必要があります。
株式会社メディケアプロモーションでは、地方都市への進出・新規開設時に不足しやすい現地の地域連携営業リソースを補うBPOとして「THRIVE」も展開しています。
地方展開・新規開設の地域連携営業BPO「THRIVE」について詳しく見る
まとめ|地域連携は「地図上のエリア」ではなく「実際に動ける地域」を見る
北海道の訪問看護の事例は、訪問型サービスにおいて地域条件が業務負担を大きく左右することを示す一例です。
DXで移動や記録を効率化することも重要ですが、その前提として「どこで、何に時間がかかっているのか」を把握する必要があります。
公開データで地域を知り、現地訪問で実態を確認し、その差を記録する。Motherの全国活動を、単なる訪問件数ではなく地域ごとの一次情報へ変えていくうえでも重要な視点です。
よくある質問
北海道の訪問看護ステーションは全国平均の6倍の距離を移動するのですか?
「移動距離が6倍」という意味ではありません。eWeLLの2026年9月25日発表で紹介されたのは、1ステーションあたりの平均カバー面積が北海道約113.7km²、全国平均約18.9km²で約6倍というデータです。
訪問看護の地域連携では何を伝えるべきですか?
行政区分としての対応エリアだけでなく、実際に訪問可能な範囲、曜日・時間帯、緊急時の対応、遠方地域の相談可否など、ケアマネジャーや医療機関が具体的なケースを判断できる情報を整理することが重要です。
Motherは患者を紹介するサービスですか?
いいえ。Motherは紹介業・仲介業ではありません。ケアマネジャー、病院、相談支援事業所等へクライアントの情報を届け、認知と地域連携を支援するサービスです。
- 株式会社eWeLL「【北海道に初出展】全国平均6倍超の訪問エリア、iBowが『CareTEX札幌』に登場」2026年9月25日
- 厚生労働省「医療DXについて」(訪問看護ステーションを含む診療報酬改定DXの取組)
- 株式会社カンリー「保育・介護施設はAIで探される時代へ! この3年の探され方の変化と、施設情報のアップデート戦略」2026年9月25日
※2026年9月25日時点の公開情報をもとに編集しています。民間企業が公表した調査・数値については、その出典属性を区別して記載しています。
