9月30日、2027年度介護報酬改定の「基本的な視点(案)」が公表
厚生労働省は2026年9月30日、第268回社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、「令和9年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)」を示しました。
概要資料では、①物価・賃金の上昇等への対応と処遇改善、②人口減少・サービス需要に応じたサービス提供体制の構築、③地域包括ケアシステムの深化、④職場環境の改善と生産性の向上を通じたサービスの質の向上及び介護人材の確保、⑤制度の安定性・持続可能性の確保、の5つが整理されています。
2027年度介護報酬改定の個別の単位数・加算・人員基準等が確定したものではありません。本記事では厚生労働省資料に記載された事実と、株式会社メディケアプロモーションとしての考察を分けて記載します。
今回の資料で特に注目したい「地域ごとに異なる」という前提
基本認識では、高齢化や人口減少の進み方、介護サービス需要、サービス提供体制をめぐる状況が地域ごとに異なることが明記されています。
そのうえで、「特定地域サービス」等の活用を含め、地域の実情に応じて必要な介護サービスを確保する必要があると整理されています。また、中山間地域の加算のあり方の見直し、地域における協働化、タスクシフト/シェアの推進も検討事項として示されています。
地域連携営業も「全国一律の営業方法」では足りない
制度資料が地域差を前提にするのであれば、地域連携営業も同じです。同じ介護サービスであっても、都市部、中山間地域、人口減少地域では、ケアマネジャーが必要としている情報や不足しているサービスが同じとは限りません。
たとえば、ある地域では新規受入枠が重要でも、別の地域では移動距離、人材不足、医療連携、夜間対応などがより大きな課題になる可能性があります。
したがって、「全国共通のパンフレットを同じように配る」だけではなく、現地で何を聞かれたかを把握し、地域ごとに伝える情報を調整する必要があります。
医療・介護連携は2027年度改定でも重要な柱
基本的な視点(案)の3つ目には「地域包括ケアシステムの深化」が置かれ、医療・介護連携、生活期のリハビリテーション、災害時の業務継続、認知症高齢者の地域生活などを推進する方向が示されています。
高齢者の医療・介護ニーズが複雑化・多様化するなか、介護事業所単独で完結する支援よりも、医療機関、訪問看護、居宅介護支援、施設などが情報をつなぐ場面は増えていきます。
地域連携営業でも、「自社サービスを知ってもらう」だけでなく、「地域の支援者がどんなケースで、どのように相談できるか」を具体的に伝えることが重要です。
居宅系サービスを含む「AI等の介護テクノロジー」が明記
4つ目の視点では、居宅系サービスも含めたAI等の介護テクノロジーの活用、タスクシフト/シェアなどを通じた生産性向上を推進し、職員の負担軽減と介護サービスの質の確保・向上を目指す方向が示されています。
これは「AIを導入すること」自体を目的とするものではありません。現場の負担を減らし、人材を確保しながら、サービスの質を維持・向上するための手段として位置づけられています。
株式会社メディケアプロモーションでも、地域訪問で得られた記録をAIで要約・分類する場合、重要なのはAIが文章を作ることではなく、スタッフが現地で得た一次情報を失わず、使える形に整理することだと考えています。
Motherでは「制度の方向性」と「地域の現在地」を分けて持つ
Motherは、介護・障がい福祉・訪問医療の事業者に代わり、ケアマネジャー、病院のMSW・PSW、相談支援専門員などへクライアントの情報を届ける地域連携・広報PR支援です。
Motherは患者・利用者の紹介や仲介を行うサービスではありません。地域の支援者へ事業者の情報を正確に届け、必要なときにクライアントへ直接問い合わせてもらえる認知と接点をつくります。
国の資料から分かるのは、制度がどの方向を向いているかです。一方、「この地域では訪問系サービスが足りない」「このエリアでは医療連携について質問が多い」といった現在の地域状況は、現地で確認しなければ分かりません。
制度資料を営業トークへ直結させない
報酬改定資料が公表されると、「これからこう変わります」と営業資料へ入れたくなります。しかし、今回公表されたものは「基本的な視点(案)」であり、個別の報酬内容が決まったわけではありません。
現段階で地域連携営業に使えるのは、「国が地域差、医療介護連携、AI・生産性向上などを重要な論点としている」という背景情報です。
決まっていない制度を先回りして説明するより、現在の地域課題を聞き、今後の改定内容が確定した時に説明を更新できる状態をつくる方が適切です。
Motherの一次情報として残したい項目
2027年度改定の議論が進む今後、Motherの訪問記録では、次のような情報を地域・時期・職種とともに残す価値があります。
- 地域で不足していると感じられている介護サービス
- ケアマネジャー等から出た医療・介護連携に関する質問
- 人材不足や移動負担など、サービス提供を難しくしている地域条件
- ICT・AI・情報連携について現場が感じている負担や期待
- 新規事業所に対して「これが分かれば相談しやすい」と言われた情報
両者を混同せず、あとから比較できる状態で蓄積することで、地域連携営業の情報価値が高まります。
地方展開では「人口」だけでなくサービス提供条件を見る
複数地域へ事業を展開する法人では、人口や高齢化率だけで市場を判断するのではなく、地域の介護サービス供給、人材、医療連携、移動条件、相談経路などを確認する必要があります。
今回の基本的な視点(案)でも、サービス需要や提供体制が地域ごとに異なることが明示されています。地方展開では、本部のデータ分析と現地での確認を組み合わせることが重要です。
株式会社メディケアプロモーションでは、地方都市への進出・新規開設時に不足しやすい現地の地域連携営業リソースを補うBPOとして「THRIVE」も展開しています。
地方展開・新規開設の地域連携営業BPO「THRIVE」について詳しく見る
まとめ|2027年度改定は「地域差」を前提に読む
2026年9月30日に示された2027年度介護報酬改定の基本的な視点(案)では、物価・賃金、地域ごとの需要差、地域包括ケア、AI等による生産性向上、制度の持続可能性という5つの視点が整理されました。
地域連携営業の立場から特に重要なのは、国自身が「地域ごとに状況が異なる」ことを前提としている点です。
制度の方向性を知る。地域へ行く。現場で何が起きているかを聞く。その違いを一次情報として残す。2027年度改定を追う際にも、この順番を崩さないことが重要です。
よくある質問
2027年度介護報酬改定の内容はもう決まったのですか?
いいえ。2026年9月30日に示されたのは「基本的な視点(案)」です。個別の報酬単位、加算、人員基準等が確定したものではありません。
今回の案ではAIについて触れられていますか?
はい。居宅系サービスも含めたAI等の介護テクノロジーの活用を通じ、生産性向上、職員負担の軽減、介護サービスの質の確保・向上を進める方向が示されています。
地域連携営業では今何をすべきですか?
未決定の改定内容を先回りして説明するのではなく、地域ごとのサービス需要、医療介護連携、人材や移動の課題などを現地で確認し、時期・地域・相手の職種とともに記録しておくことが有効です。
Motherは利用者を紹介するサービスですか?
いいえ。Motherは紹介業・仲介業ではありません。ケアマネジャー、病院、相談支援事業所等へクライアントの情報を届け、認知と地域連携を支援するサービスです。
- 厚生労働省「第268回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」2026年9月30日
- 厚生労働省「令和9年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)概要」2026年9月30日
- 厚生労働省「社会保障審議会(介護給付費分科会)」
※2026年10月1日8時時点の公開情報をもとに編集しています。「基本的な視点(案)」は最終決定事項ではありません。
