在宅医療は「個別営業」から「地域連携」へ
売り込むのではなく、必要な時に「あそこなら対応できる」と思い出してもらう。厚生労働省が進める「在宅医療に必要な連携を担う拠点」の整備から、これからの訪問診療・訪問看護の地域活動を考えます。
在宅医療は、一つの事業所だけでは完結しない
在宅療養を支えるには、訪問診療だけでなく、訪問看護、薬局、歯科、ケアマネジャー、介護サービス、障がい福祉サービス、病院など、多くの機関・職種が関わります。
厚生労働省は第8次医療計画で、在宅医療について「退院支援」「日常の療養支援」「急変時の対応」「看取り」の4つの機能を整備する方向を示し、そのために「在宅医療に必要な連携を担う拠点」を医療計画に位置付けています。
「連携を担う拠点」に求められていること
厚生労働省の資料では、連携拠点に対し、地域の在宅医療の提供状況を把握・共有し、連携上の課題を抽出することなどを求めています。対象は医療機関だけではなく、訪問看護、薬局、介護、障がい福祉など、在宅療養を支える地域資源を広く捉えています。
個別営業だけでは、地域の連携はつくれない
訪問診療や訪問看護の営業では、ケアマネジャーや病院へ「患者さんをご紹介ください」と伝える活動もあります。しかし、多職種連携を前提とする在宅医療では、紹介をお願いするだけでは十分ではありません。
地域の支援者が知りたいのは、「どんな患者さんに対応できるのか」「急変時はどう動くのか」「どこまで医療的ケアに対応できるのか」「他職種とどう情報共有するのか」といった具体的な情報です。
必要な時に「あそこなら対応できる」と思い出してもらう
地域連携で大切なのは、すぐに紹介をもらうことだけではありません。今すぐ対象となる患者さんがいなくても、ケアマネジャーやMSW、相談支援専門員などが困ったケースに出会った時に、「そういえば、あそこなら対応できるかもしれない」と思い出してもらえる状態をつくることです。
そのためには、日頃から地域へ正しい情報を届けておく必要があります。これは売り込みではなく、地域の支援者が適切な相談先を選ぶための情報提供とも言えます。
地域へ伝えるべきなのは「サービス名」より「対応力」
「訪問診療をしています」「訪問看護ステーションです」だけでは違いは伝わりにくいものです。看取り、精神科領域、難病、医療依存度の高い方、小児、緊急時対応、リハビリ、家族支援など、具体的な対応範囲を伝えることで、地域の支援者は「どんな時に相談すればよいか」を判断しやすくなります。
営業活動を「地域連携活動」として設計する
まとめ|営業の先にあるのは、地域から頼られる関係
在宅医療は今後ますます「地域全体で支える」という方向へ進んでいきます。訪問診療や訪問看護の地域活動も、「紹介してください」という個別営業だけではなく、地域の医療・介護・福祉関係者へ、自分たちの役割と対応力を正しく伝える活動として考える必要があります。
売り込むのではなく、必要な時に「あそこなら対応できる」と思い出してもらう。
その積み重ねが、地域から選ばれ、頼られる在宅医療につながっていくのではないでしょうか。
※2026年8月8日時点の公開資料をもとに編集しています。