令和8年度改定で、相談支援が処遇改善加算の対象に

厚生労働省の令和8年度障害福祉サービス等報酬改定では、福祉・介護職員等処遇改善加算の対象を広げる見直しが行われました。

その中で、これまで対象外だった計画相談支援、障害児相談支援、地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援)に、処遇改善加算が新設されています。資料上の加算率は5.1%です。

今回の改定は、相談支援を「制度をつなぐ事務機能」ではなく、地域生活を支える専門職として持続させる必要性が、より明確になった改定と読むことができます。

人材確保だけでは、相談支援は地域に届かない

処遇改善は、人材確保や定着のために欠かせません。一方で、相談支援事業所にはもう一つの課題があります。それは、地域の関係者から「その事業所が何に強いのか」「どのような相談に対応できるのか」が見えにくいことです。

同じ相談支援でも、精神障害に強い、児童分野に強い、医療的ケア児との連携経験がある、地域移行支援に詳しいなど、事業所ごとに実務上の特徴があります。その違いが地域に十分伝わっていなければ、必要な人に必要な支援が届きにくくなります。

「選ばれる」ではなく「適切につながる」ための情報発信

障がい福祉の地域広報で大切なのは、一般企業のような売り込みではありません。相談支援専門員、医療機関、基幹相談支援センター、障害福祉サービス事業所、学校、行政などが、「このケースなら、あそこに相談できる」と判断できる状態をつくることです。

対応できる相談領域障害種別、年齢層、医療連携、地域移行など、自事業所の対応範囲を具体化する。
連携しやすい情報相談方法、対応地域、連絡先、受け入れ状況、連携の流れをわかりやすくする。
実際の支援イメージ制度名だけではなく、どのようなケースでどのような支援ができるかを伝える。
継続的な接点一度パンフレットを渡して終わりではなく、地域へ定期的に情報を届ける。

処遇改善と地域連携は、実は同じ「持続可能性」の話

処遇改善加算は、働く人を支える仕組みです。一方、地域広報や地域連携は、必要な相談や支援を地域の中で適切につなぐための仕組みです。一見すると別の話ですが、どちらも事業所を持続可能にするための基盤です。

人材が定着しても、地域で役割が知られていなければ相談につながりません。逆に、相談依頼が増えても、人材が定着しなければ質の高い支援を継続できません。

「人を守ること」と「地域との関係を育てること」。この二つを同時に進めることが、これからの障がい福祉事業所の経営には必要です。

相談支援の広報は「サービス説明」だけでは足りない

「計画相談支援を行っています」「障害児相談支援に対応しています」という制度名だけでは、地域の相手にとって判断材料は十分ではありません。重要なのは、制度の説明を、地域で使える情報に変えることです。

どんな困りごとの相談が多いか、どのような関係機関と連携しているか、どんなケースで相談してほしいか、初回相談から支援開始までの流れ、現在の受け入れ状況。こうした情報があることで、地域の支援者は相談先を具体的にイメージできます。

まとめ|処遇改善の先にある「地域で支援を続けられる事業所」へ

令和8年度障害福祉サービス等報酬改定では、計画相談支援、障害児相談支援、地域相談支援にも処遇改善加算が新設されました。これは人材確保・定着にとって重要な前進です。しかし、事業所を地域に残し続けるためには、人材だけでなく、地域との関係も同時に育てていく必要があります。

良い支援を持っていることと、その支援が地域に知られていることは別です。

制度改定をきっかけに、職員の処遇だけでなく、「自分たちが地域でどのような役割を担っているのか」を改めて言葉にしてみる。その作業が、これからの相談支援の地域連携を強くしていくはずです。

編集担当:Mona(株式会社メディケアプロモーション)

介護・障がい福祉・訪問医療における営業、地域連携、広報の視点から、公表資料と現場実務をつなぐ情報を発信しています。