厚労省が「デジタル中核人材」を育成

厚生労働省は2026年7月31日、介護保険最新情報Vol.1531として「デジタル中核人材養成研修」の周知と受講勧奨を行いました。

背景には、生産年齢人口の減少による介護人材確保の難しさと、85歳以上人口や認知症高齢者など、医療・介護の複合的ニーズを抱える人の増加があります。

今回の通知で重要なのは、「テクノロジーを導入するだけでは具体的な成果につながらない」と明確に整理されている点です。

必要なのは「導入担当者」ではなく「改善を回せる人」

通知では、現場課題の把握、職員間での目的共有、導入計画、運用、効果検証、継続的な改善まで進められる人材が必要だとされています。

現場課題を把握何が負担なのか、何を変えるのか整理
導入・運用職員と目的を共有し現場に合わせる
効果検証・改善導入後も見直し続ける

現場を知らないDXは、現場に仕事を増やす

介護現場では、紙、Excel、既存システム、新しいクラウドサービスが併存し、結果として入力先が増えることがあります。本来は業務を減らすためのシステムなのに、「入力する場所が一つ増えた」だけになる。これは技術の問題というより、導入前の業務整理が不足している状態です。

DXのスタート地点は「どのシステムを入れるか」ではなく、「この業務はなぜ存在しているのか」を現場で確認することです。

介護現場に必要なのは「翻訳できる人」

現場側の言葉「申し送りが大変」「記録が重複している」「情報を探すのに時間がかかる」
IT側の言葉「データ連携」「API」「クラウド化」「自動化」「権限管理」

必要なのは、現場の困りごとをシステム要件へ変換し、逆に技術の機能を現場で使える形へ翻訳する人です。

AI導入でも同じことが起こる

AIも、導入しただけでは業務改善になりません。「職員にChatGPTを使わせる」「記録をAIで書かせる」だけではなく、何を人が判断し、何をAIに任せ、どこで確認し、結果をどこに保存するのかまで設計する必要があります。

地域連携・広報にも同じ構造がある

情報をデジタル化すれば、地域へ自動的に伝わるわけではありません。ケアマネジャー、MSW、相談支援専門員が必要としている情報を整理し、相手が使える形に変換する必要があります。

テクノロジーの価値を決めるのは、機能の多さではなく、現場の課題が実際に一つ減ったかどうかです。

まとめ|介護DXの主役は、システムではなく現場

厚生労働省のデジタル中核人材養成研修は、介護DXの考え方が「機器・システムの導入」から「現場主体の継続的な業務改善」へ移っていることを示しています。

必要なのは、最新のツールを知っている人だけではありません。

現場を知り、課題を言葉にし、職員と目的を共有し、テクノロジーを使い、結果を検証してまた直す。そうした人材が現場の中にいることが、これからの介護事業所の力になります。

参考資料・出典

※2026年8月19日時点の公開資料をもとに編集。DX・AI活用に関する考察は株式会社メディケアプロモーションの実務経験をもとにしています。

編集担当:Mona(株式会社メディケアプロモーション)

介護・障がい福祉・訪問医療における営業、地域連携、広報の視点から、公表資料と現場実務をつなぐ情報を発信しています。