PMHとは、自治体と医療機関等をつなぐ情報連携基盤

Public Medical Hub(PMH)は、自治体が実施する医療費助成、予防接種、母子保健などの情報を、国民・自治体・医療機関・薬局の間で連携するための仕組みです。紙の受給者証や予診票などに伴う確認・入力の負担を減らし、必要な情報を安全に交換できる環境づくりが進められています。

デジタル庁の2026年10月30日更新資料では、先行実施事業の参加自治体数は2024年度末の183自治体から、2026年10月28日時点で614自治体へ拡大したとされています。また、PMHが利用可能な医療機関・薬局数は、2025年4月の約2.5万施設から2026年3月には約6.9万施設へ拡大したと報告されています。

PMHは単なる「受付のデジタル化」ではありません。患者・家族が地域の医療機関や薬局を利用する際の確認負担を減らし、地域内の情報連携を滑らかにする基盤として捉えることが大切です。

在宅医療に関係するのは、窓口業務だけではない

訪問診療では、患者宅での保険資格や公費負担の確認、家族からの問い合わせ対応、医療機関内での請求事務など、外来とは異なる流れがあります。薬局も、在宅訪問時の処方・調剤や患者情報の確認に関わります。

訪問看護ステーションがPMHの各機能を直接利用する対象になるかどうかは、制度・機能ごとに確認が必要です。しかし、訪問看護師は患者・家族から相談を受け、医療機関、薬局、ケアマネジャー、自治体窓口をつなぐ立場にあります。仕組みの概要と地域の導入状況を知っていること自体が、相談対応の質につながります。

現場で起こりやすい「移行期のずれ」

  • 地域差参加状況や実際の運用開始時期は自治体ごとに異なります。全国一律に同じ日から使えるとは限りません。
  • システム差医療費助成情報を受け取るには、対応するレセコン改修や設定が必要とされています。
  • 患者側の理解差マイナンバーカードだけで全ての手続が完了すると誤解される可能性があります。
  • 職種間の認識差医療機関、薬局、訪問看護、ケアマネジャーで把握している導入状況が違うと、案内が食い違います。

デジタル化の移行期には、「制度として始まっていること」と「自分の地域・施設で実際に使えること」を分けて確認する必要があります。患者や家族へ説明する際も、利用可否を断定せず、自治体や医療機関の最新案内につなぐ姿勢が重要です。

今から整えたい5つの準備

1.自院・自局の対応状況を確認する

まず、自治体の参加状況、利用中のレセコンや受付システムの対応状況、必要な設定、院内の担当者を確認します。デジタル庁は導入済み医療機関・薬局のリストや事業者情報を公開していますが、実際の運用状況は自治体やベンダーにも確認しましょう。

2.訪問先での確認手順を文章化する

カードを読み取れない場合、通信障害がある場合、患者本人が手続を行いにくい場合なども想定し、誰が何を確認し、どこへ問い合わせるかを簡潔な手順にします。デジタル化は、例外時の手順まで決めて初めて現場で機能します。

3.患者・家族向けの説明を統一する

「何が便利になるのか」「何を持参・準備すればよいのか」「地域や医療機関によって利用状況が異なること」を、短い説明文にまとめます。受付、相談員、訪問スタッフが同じ説明をできるようにしておくと、問い合わせの行き違いを減らせます。

4.地域の関係者と導入状況を共有する

病院の地域連携室、診療所、薬局、訪問看護、ケアマネジャー、相談支援専門員、自治体担当窓口の間で、「どこまで使えるか」「誰に確認するか」を共有します。制度の説明資料を配るだけではなく、地域ごとの実際の運用を持ち寄ることがポイントです。

5.個人情報と誤送信への備えを見直す

紙が減っても、個人情報保護の重要性は変わりません。閲覧権限、端末管理、画面ののぞき見、誤った患者情報の参照、問い合わせ時の本人確認など、日常業務のルールを再確認します。新しい仕組みを導入するときは、便利さだけでなく、誤操作や障害時の対応もセットで教育する必要があります。

DXの成否を分けるのは「地域へどう伝えるか」

新しい制度やシステムが導入されても、地域の関係者や患者・家族に伝わらなければ、現場の混乱は減りません。自院・自事業所が対応できること、まだ対応していないこと、問い合わせ先を整理し、継続的に発信することが必要です。

株式会社メディケアプロモーションでは、介護・障がい福祉・訪問医療の地域連携と情報発信を支援しています。地域への訪問活動や関係機関との接点づくりにはMother、地方での新規開設や複数地域への展開に伴う地域連携営業には地域連携営業BPO「THRIVE」をご案内しています。

まとめ|「導入したか」から「地域で使えるか」へ

PMHの対象地域・施設は着実に広がっています。一方で、在宅医療の現場では、患者宅、医療機関、薬局、訪問看護、自治体など複数の場所と職種をまたいで情報が動きます。

確認すべきなのは、システムを導入したかどうかだけではなく、患者・家族が迷わず利用でき、困った時に地域の誰が支えるかまで決まっているかです。

地域ごとの導入状況を確認し、説明・例外対応・連絡先を共有する。その積み重ねが、医療DXを現場の負担軽減と安心につなげます。

参考資料・情報基準日
・デジタル庁「自治体・医療機関等をつなぐ情報連携システム(Public Medical Hub:PMH)」(2026年10月30日更新)
・デジタル庁「医療DXに関するダッシュボード」(2026年10月16日更新)
・デジタル庁「AI・デジタル改革推進会議」(2026年10月22日更新)
※2026年10月31日時点の公開情報をもとに編集しています。PMHの対象、利用条件、導入・運用状況は自治体、制度、医療機関、システム環境により異なります。実際の対応は各自治体・関係機関・システムベンダーの最新情報をご確認ください。
編集担当:Mona|株式会社メディケアプロモーション

介護・障がい福祉・訪問医療の地域連携について、公開一次資料と営業実務の考察を分けて発信しています。